初心者におすすめの書籍
当館に集われる研究会の講師の先生と共に技術の研鑽と伝承を計り、これまでに約20冊のちりめん細工の本を出版しました。
下記の本では、ちりめん細工を作るための原点に戻り、当館のちりめん細工講師の協力を得て、基礎的な作品の作り方を解り易く解説するとともに、現代の暮らしに取り入れていただける飾り方の数々もご紹介しています。
お細工ものの基礎を覚えながら、モチーフ1種類を覚えて作る一連飾りや、いくつものモチーフをつなぎ、何連にもなる豪華な輪下げを楽しんで作ってみましょう。
初心者の方でもよくわかるプロセス過程の写真入りの本
材料について
表布( 正絹二越ちりめん )
ちりめん細工の材料には伸縮性のある、しっとりした風合いの縮緬が適しています。縮緬は横糸に強いよりをかけた絹織物で、表面の凹凸を「しぼ」といいます。袋ものや押絵に最適な布地です。縮緬は横に伸び、縦には伸びにくい性質を持っています。裁断するときは布目方向を確認してから裁ちましょう。
白地のお細工物に適した縮緬を好みの色に染めたり、ぼかし染やむら染にして使う愛好者もおられます。帯揚げなども利用する場合もあります。
鬼しぼ縮緬のようにしぼの大きい布は、袋物などの大きな作品に適しています。
当館にはちりめん細工に適した二越縮緬を「古風江戸縮緬」と名付け、お分けしています。
裏布
薄い絹布が適していて、袋物の内袋に使います。内袋には、薄手の布地や木綿などで代用してもよいでしょう。
接着芯 ※裏打ち
布の張りを出すためと、布のほつれを防ぐために、薄手の接着芯を表布に張って使用すると便利です。
接着芯は片面に接着剤のついたアイロンで貼る芯です。布や不織布のものがありますが、袋の表布の裏には布、押絵や箱には不織布が向いています。
しかし、接着芯を使うことにより、縮緬の持つ風合いを損わないように厚みを考慮して選びましょう。
表布は接着芯を裏打ちしてから裁断します。
絹手縫い糸
袋のまわりを縫ったり、刺しゅうをするのに絹手縫い糸を使います。
布の色と同色の絹の手縫い糸を用います。色の異なる布を2枚合わせるときは、使う主な布の色に合った縫い糸を使うと、仕上がりがきれいです。目、口、頭髪などは、木綿糸や絹糸を適当に使い分けましょう。
作品によってはこの他に、穴糸や25番刺しゅう糸、テグスなどを用意しましょう。
打ちひも
袋ものの口べりひもなどに使います。正絹のひもは、風合いもよく、巾着に通したときもしっかりと引き絞ることができます。
打ちひもや組みひもを使います。作品の大きさによって、太さを変えるとよいでしょう。色は、作品との配色のよい色を選びます。
綿
布団綿、青梅綿、脱脂綿、化繊綿などを作品に応じて、使い分けます。
押絵には青梅綿が向いていますが、袋物には、手に入りやすい化繊綿を用いるとよいでしょう。
キルト芯
箱や、押絵の膨らみを表現するときに綿の代わりに貼ります。
針金
形を整えるときに、針金を使います。一番よく使う針金の太さは24番ですが、作品によって太さを使い分けましょう。
すが糸
白と黒を使います。白は、ひげや白髪などに使い、黒は頭髪や生え下がりなどに使用します。
厚紙(板目紙)
袋物の底や箱の土台に、厚紙を使います。作品の大きさや使う場所により、厚さを使い分けてください。
両面接着シートと両面接着芯
布や紙、キルト芯を貼り合わせるのに使います。アイロンでつけるタイプ、はくり紙をはがして貼るタイプなどがあります。
美しく作るコツと用具について
配色と柄選び
作品を美しく仕上げるために大切なのが配色と柄選びです。同じデザインでも配色や柄を変えることで違った雰囲気になります。配色は最初に全体のトーンを決めておけば、同系色のグラデーションでまとめたり、反対にメリハリのある色合わせをしても、まとまりよく仕上がります。
柄ちりめんは、そのままの柄を生かす他にも、地の色を無地の代わりに使用すると、単色よりも面白い効果が得られたりします。
また、布地以外の、打ちひもの色や太さ、ひも先飾りなどの配色にも注意して選びましょう。
必要な道具のご紹介
鉛筆
型紙を作るときや印をつけるときに必要です。HBなどやわらかめの芯をとがらせて使いましょう。
チャコペン
布に印をつけるときに必要です。あとで消えるタイプが便利です。
ハサミ(兼用ハサミ・糸切ハサミ・型紙や紙を切るハサミ )
型紙や紙を切るハサミと布や糸を切るハサミが必要です。最近では、兼用のハサミも利用できます。
アイロンとアイロン台
普通の家庭用アイロンも利用できますが、小さな作品には小型アイロン、コテなどが便利です。
蒸気アイロンは、縮緬のしぼを損なう恐れがあります。
縫い針
布地に合わせて絹針、木綿針を用意します。四ノ三半や短めの四ノ三が縫いやすいです。
まち針
布を仮どめするときに使います。
接着剤・手芸用ボンド
布や紙を貼るときに使います。
ピンセット、目打ち、ペンチ、カッター、物差しなど
ピンセット、目打ち、ペンチ、カッター、物差しなどを使います。作品に応じて、使いやすい用具を工夫してみてください。
顔彩、アクリル絵の具、面相筆、胡粉(ごふん)、ほお紅、綿棒、楊枝
人形の顔を描くときに必要な顔彩、アクリル絵の具、面相筆、胡粉(ごふん)、ほお紅、綿棒、楊枝もあれば便利です。