日本玩具博物館ちりめん細工の会について
- 目的
- この会は日本の伝統手芸である「ちりめん細工」(裁縫お細工物)について研究し、質の向上に努め、会員相互の親睦と研鑽を図ることを目的とします。
- 入会資格
- 当館認定講師の指導するちりめん細工講座に2年以上在籍し、講座に20回以上参加。作品を完成された受講生は、当館ちりめん細工講座基礎講座修了証を発行します。基礎講座を修了した受講生は、日本玩具博物館ちりめん細工の会に入会できます。そして、さらに研究会へ進むコースもあります。
研究会は月に数回開催され、ご希望の講座をご受講いただけます。
会の歩み
ちりめん細工は、江戸時代の後半に御殿女中や商家など裕福な家庭の女性の手から生まれ、明治・大正と作り伝えられてきましたが、昭和に入ると忘れられた存在になりました。
当館の井上重義館長は郷土玩具の収集活動の過程でちりめん細工の存在と素晴らしさに気付き、古作品や型紙、文献資料を収集しました。
昭和61(1986)年から人形作り、パッチワーク、和裁など手芸の好きな方が当館に集まり、『裁縫おさいくもの』(明治42年刊)などを参考にして、年に3~4回集まって勉強会を始めました。
平成元年(1989)年、当館に集ったちりめん細工愛好者で「ちりめん細工研究会」を結成。『裁縫おさいくもの』(明治42年刊)や『続裁縫おさいくもの』(明治45年刊)、『裁縫おもちゃ集』(大正5年刊)などをもとにして勉強をはじめ、当館が収集した古作品を型起こしをして再現してきました。
平成3(1991)年から、研究会の主要メンバーを講師として、ちりめん細工を習いたい皆様のために、講座を開催してきました。研究会には遠く関東や九州からも問い合わせがあり、全国的に関心が高まり、広がりを見せました。
平成4(1992)年より、会員の協力のもと、わかりやすい解説書の出版活動に取り組んできました。型紙や作り方は、出版活動をとおして公開し、全国各地でちりめん細工が作られるようになりました。
その後、当館ちりめん細工講座で学んだ研究生を中心に「日本玩具博物館ちりめん細工の会」を組織して、伝承者の育成と愛好者の拡大に努めました。
課題研究会では、古作を復元伝承するとともに、技術伝承者を育成し、創作品を生み出しています
「ちりめん細工の会」の研究会では、復元した古作品や創作作品を発表、それらの成果を共有しながら質の向上を図り、ちりめん細工の伝承と普及に努めています。
また、全国から当館認定講師指導による講座の開催依頼を受け、これまでに大勢が「ちりめん細工」講座を学ばれています。
最近では、制作した新作品や、ちりめん細工を季節ごとにより魅力的に美しく飾る手法や暮らしの中で楽しむ方法を提案する活動を館長を中心に講師や研究生と一緒に取り組んでいます。
特に、ひも先の飾りは、小さな端裂を活用し、ポンポンだけでなく、小さくて可愛い花形、すずらん、柿、ほおずき、椿、梅、朝顔のつぼみ、花のつぼみ、だるま、でんでん太鼓、房などを書籍で公開し、紹介してきました。
これらは、イヤリングなどにも応用でき楽しめることなど、アクセサリー小物として発信しています。
ちりめん細工とつまみ細工とのコラボレーション作品も制作しています。
ちりめん細工の復興に取り組んできた当館だからこそ、技術の伝承とともにちりめん細工に関連した多くの有形無形の文化を未来につなげ、ちりめん細工の可能性をもとめて新たな用途の開拓も考えています。
ちりめん細工の魅力
ちりめん細工の生命は型紙にあります。同じ型紙を使い、花、鳥、動物、人形などの小さなかわいい袋物を作りますが、制作者の感性により、華やかだったり、渋みのある作品が完成します。
それが、ちりめん細工の個性としての楽しみや魅力のひとつとなっています。
初心者は材料セットを用意していますが、研究会では、作品の完成図を思い浮かべながら、材料になる縮緬を用意することから始まります。
そのため、作品に応じて縮緬の色柄を選ぶことも「ちりめん細工」の醍醐味のひとつです。
関連分野には、飾り結びや刺しゅうなどがあり、作品を華麗に演出できます。
飾り結びにはいろいろな結び方があり、縁起をかついだり、祈りがこめられたもの、祝い用にも向いています。
「ちりめん細工の会」活動の広がり
1997(平成9)年 | 当館が講師を派遣するカルチャーセンターでの「ちりめん細工」講座が全国各地で始まる。 |
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1999(平成11)年 | 「日本玩具博物館ちりめん細工の会」会員(技術伝承者)が100名を越える。 |
2000(平成12)年 | 大阪国際会議場オープニング記念事業「関西ミュージアム・メッセ2000」に「ちりめん細工・体験工房」として参加。「かきつばた袋」のワークショップを行うが、定員30名を超える申込があり、好評を博す。 |
2001(平成13)年 | 「ちりめん細工」のウェブサイトを開設する。 |
2004(平成16)年 | 当館が講師を派遣するカルチャーセンターが全国で22ヶ所となる。 |
2008(平成20)年 | 小倉城庭園が開催する「ちりめん細工・春の寿ぎ展」出品のため、ちりめん細工の会会員が19台の傘飾りを共同制作する。 |
2015(平成27)年 | 目黒雅叙園(東京)で開催の「百段雛まつり~瀬戸内ひな紀行~」に講師制作の大型のつるし飾りが“正面玄関”に、よみがえったちりめん細工(平成期)を“頂上の間”に展示する。 |
2018(平成30)年 | たばこと塩の博物館(東京)で「ちりめん細工の今昔」展に約千点を1月23日~4月8日まで展示する。 期間中2万人もの来場者があり同館の記録を更新する。 |